最後の切り札

はてなブログさんが掲げる今週のお題は「満足感まで買いました」だ。

シンプルにうざくて笑っているが、もしこのお題に毎回従う変な人がいたとしてこれを見て普通に「あっ、あの時の買い物だ!」ってなれるのだとしたら羨ましい話だと思う。

そもそも満足感が得られたかどうかまで意識が行くのは結構お高い買い物に限ると思うので、ホットケーキミックスを買ったはいいが作るのがめんどくさくて賞味期限を切らすとかやってる身では到底参加出来そうにない話題である。目が欲しがるんだ、ホットケーキは。

 

話は変わるが、最近自分がオタクかそうじゃないかで悩んでいる。

今までは「オタクではない」と即答しており、これは「オタクなんかと一緒にしないで」と言う傲慢な感情からではなく、オタクだと言えるほどに精通している知識が一つも無いですよと言う意味であり、「アニメや漫画を見る」と言う趣味も無かったのでアニメや漫画を好んでいればオタクと言う枠組みも一緒くたに否定出来ていたので何も問題は無かったのだが、最近困るようになってしまっているのだ。

 

まずゲームをするようになった。昔からゲームはすごい好きなのだが、思い返せば思い返すほど昔の思い出みたいなのばかりになり、最新ハードになると全くついていけなかったし、PS Vitaと3DSは買ったものの、各々ファイアーエムブレムダンガンロンパと言う目当てのゲームをやった時点で埃を被らせている。PS4も持ってるもののやってるゲームはファイナルファンタジー14だけなので「ゲーム」と言う大きな枠組みで語るのは誇張表現が過ぎるのではないかと思っていたのだが、ここ1年ぐらいソシャゲーに手を出してしまい暇さえあればピコピコしている。

そしてその影響で二次元イケメンキャラクターに嵌まり、チマチマとグッズを買い漁ったりしている。しかし、最近アニメ化したもののそれは未だに見ていないのがまだ自分の中でラインを越えていないのではないか?と言う感じになっている。ED曲のCDとかは買ったのだが。

 

このグッズを買うと言う行為が端から見たら「それはイエスオタク」と言う判決の材料になってしまうのでは無いかと言う疑念がある。逆にアニメを見ていてもそれだけなら「そこまでならノットオタク」と言う感じになる気もするのだ。

この手の作品グッズと言うのはコラボなりすればコンビニとかでも手に入るのだが、そうではない場合然るべきお店に出向き商品を手に取りレジへと向かい店員さんに澄んだ目で「くださいな」とお願いする必要があり、その筆頭とも言える然るべき場所と言うのがアニメイトだ。小学生でも分かる単純なネーミングで「あ、オタクが集う場所だ!」と指を刺される建物だ。昔スペックと言うドラマで一十一(にのまえ じゅういち)と言うセンスに溢れる恥ずかしい名前のキャラクターを神木龍之介と言う生まれてから今までずっとイケメンと言う嫉妬に質量があれば遥か昔に雷に打たれて死んでいそうな俳優が演じていたのだが、そこに「イケメンだがオタクでアニメイトに通っている」みたいな設定があった。イケメンで超能力を持っていて名前が一十一(にのまえ じゅういち)と言うどこを取り上げればいいのか全く分からない情報量の津波みたいなキャラクターでもアニメイトに通っていればオタクと言う側面が真っ先にピックアップされる程度にあの場所は人にオタクと言う属性を付与する力が強い。足を踏み入れればその瞬間あなたは世界からオタクと思われている訳である。誰も逃れられないし言い訳は効かない。オタク裁判が成されたとしてアニメイトに足を踏み入れた画像が提出された段階で有罪である。

 

そして僕もアニメイトに足を運んでセコセコとグッズを買っているのでワールドワイドな視点で考えれば有罪なのだが、僕が住んでいる場所は世間から切り離された下町スラムなので判決はもうちょっと待ってほしい。

アニメイトに立ち寄り、あらゆるコーナーをうろうろしているとかなら下町スラムと言えども完全に黒だが一目散に特定のコーナーにだけより目的の物を入手した瞬間にお店を出ればそれはやんごとなきお方からミッションを承ったエージェントの可能性も出てくるのだ。まぁ自分の意思で行っているのだが、自分の意思と言うのはつまり神のご意向と言う事でもあるので「百パーセント自分」とは言い切れない。

アニメイトで売ってるよと言う情報を手にいれたからアニメイトまで足を運んでいるだけで、別に角のタバコ屋で売ってるよと言われれば当然そちらに行く訳だし、実質アニメイトに行ってる訳ではないとも言える。

 

そんな訳でアニメイトでお買い物をしてレジの店員さんに「アニメイトのカードはお作りなさいますか?」と言う質問をされる度に「あたしそんなんじゃないから。違うから。今だけだから。」と言う気持ちでお断り申し上げていた。ヒプノシスマイクと言うコンテンツのデスリスペクトなる作品を購入した時の特典で手にいれたdポイントカードがあったしそちらを提示していたのだが、「あたしそんなんじゃないから」と断るやり取りがその週だけで4回目だった時があった。

「あれ?僕このやり取り…4回目だな…?」と思ったし、「転生したら小林だった件」と言う意味不明な名札も完全に見慣れた物だった。転生した癖に現代日本で小林だぞお前はと言われたら僕なら自害する所だが、あの店員さんは一生懸命働いてて偉いなってその週だけで4回思った。

そして、作ったのである。アニメイトカードを。だってその週だけで4回目だったから。

 

つまり完全に「お前アニメイトに行ってるよな」と問い詰められたら言い逃れ出来ない証拠を財布に忍ばせてしまっている状態だ。ナルホドウリュウイチも頭を抱えてそのままゲームオーバーである。

しかしオタクと言うとやはり「何かしらの知識に精通している」と言うイメージが拭えず「オタクだよね?」と言われて素直に頷く心づもりにどうしてもなれないのである。

自分の得意分野でだけ饒舌と言うキモい特徴としてあげられがちな部分は自分の得意分野ぐらいなら概ね記憶出来るし諳じる事が出来ると言う事である。これは地味にすごい事であり、優秀な頭脳をお持ちと言う事だ。僕には難しい。最近もゲームの登場人物の身長を1cm間違えていたし、新キャラの名前を覚えるのにも四苦八苦している。大阪ディビジョンの二番手の人とか漢字がモショモショしすぎていて全然覚えられない。いい加減にしてほしい。

この程度の能力でオタクと名乗ろうとは片腹痛い話だし、オタクなんですよと認めようとすれば即座にポケットからご先祖様が「それはいけない!!」と止めにかかってくる。

しかし相手からしたらすごいカジュアルに「二次元コンテンツ的な物が好きだよね?」ぐらいの感覚で聞いてる可能性もあり、この場合に違いますよと答えるのは完全に嘘つきであり、将来死んだときに閻魔様に舌を抜かれる羽目になってしまう。つまり相手がどちらの意味で質問してるかを即座に見破り「はい/いいえ」を巧みに繰り出さないと地獄に落ちてしまうのだ。

 

そもそもそんなに「オタクですか?」と聞かれるか?と思うかも知れないが、これがめちゃくちゃ聞かれるのである。僕は見た目がゴミっているので、見た瞬間に「あ、こいつオタクや(悪い意味で)」と思わせてしまうし、その質問の返答次第で僕が地獄に落ちるとも知らないで「オタクなんだ?」とクエスチョンをさせてしまうのである。何気なく相手の地獄行きを確定させた罪でそいつも地獄行きである。僕に出会うとはそういう事だ。

 

毎回毎回「あ、えっと、アニメや漫画は全然見ないんですけどゲームは、ゲームと言ってもソーシャルゲームと言うスマホでやるゲームなんですけど、そういうのはやってて、でも別にオタクって言うほど詳しい訳じゃないんですけど、でもグッズとかは買うのでそういうのを貴方がオタクと判断するのであればオタクです」とオタク特有の早口で捲し立てるのもどうかと思うし、本当に困っている。

 

なので、最近はオタクですか?と聞かれたらニヒルな笑みを浮かべながらアニメイトのカードをチラッと見せようかと思っている。相手が分からないならそれはそれでいい。口角をあげたまま立ち去るだけである。お前には分からないようだな、と。