がくぶるすたあず

夢ノ咲学園がテレビジョンに出るらしい。らしいと言うか、確定情報なのであるが、定期的にテレビで30分ほど放送するらしい。

それを三次元ではアニメと呼ぶらしい。

 

右を見れば奇人、左を見れば変人、廊下を歩いているだけで「道を開けろ」等と要求されるヤベエ奴の寄せ集め学園を電波に乗せてお茶の間にお届けしようとは中々にクレイジーゴナクレイジーな所業である。

 

ここで40数名いる個性豊かなヤベェ奴等を一人一人紹介してもいいのだが、それをすると皆さんにはメモ帳と筆記用具、常識を持参の上、途中2、3回はトイレに立つことを計算にいれた時間を作った上での個室を用意して貰わないといけなくなるので割愛する。命拾いしたな。

と言うか、次から次へと新しいクレイジーな面が発見される深海の様な学園なので、イチイチ定期報告していられないのである。

 

そんな訳で、本来ならプロデューサーの皆様は「ここにいる奴等の日常がお茶の間に放映されるのはアイドルとして絶対にアカン」と言う所に目を向け、全員で力を合わせてどこのご家庭にもあるダイナマイトでテレビ局を爆破、世間様の目に晒される悲劇を回避しなければならないのだが、残念ながらそんなやべぇ学園に転校したプロデューサーも負けず劣らずのヤベェ奴しかいないのか、「アニメに転校生の女、アンズが登場するらしい」と言う情報にワチャワチャしている。そんな目先の事に囚われている場合ではないだろう。

僕はアニメ化情報をよく調べていないので、詳しいことは分からないが、どうせメインストーリーを中心にやるのだろうから、一番ほのぼのしていない時期をお茶の間にプレゼントする事になる。

より深い闇が過去に溢れまくってるせいで感覚が狂ってきているが、陽動作戦、人海戦術、囮、拉致監禁、親を使った心理的脅迫等、敵も味方もあらゆる手段を使って勝ちを狙いに行ったメインストーリーは完全に闇のゲームであったし、最悪のルートを通れば人が一人死んでいたのは間違いない戦争であった。

 

夢を届けるアイドルがそんなダークネスウォーゲームに全員参加している所が放送されようとしていると言うのに、「アンズの声は坂本真綾」事件に夢中なの、良くない。

この「アンズの声が坂本真綾」事件、なんか広がってるなぁと思ったら、そもそも「坂本真綾って誰?知らない」みたいな意見があったらしく…これは本当に未確認なのだが、あったらしく、それに対して「オタクの癖に坂本真綾を知らないなんて!!」とぶちギレた方々が「坂本真綾は誰それの嫁」「坂本真綾はこんな名作に出てる」とあげつらっている…のだが、「坂本真綾知らない」発言を確認しようと「坂本真綾 知らない」で検索しても

 

坂本真綾を知らないなんて!!」と言うような発言しか出てこないので本当に元の発言が発見出来ない。

「この学園に女の影はいらないの!!プロデューサー帰って!!」とキレ散らかしてる方も相当に民度が低いが、いるのかどうかも分からない架空の存在に向かってギャーギャー吠えている方が電波はキていると言える。いつだって台風の真ん中は虚無である。

いや、多分いたのだとは思うのだが…。

 

さて、僕が腐男子だと言うのは皆さん知っての通りだが、ではアンズの存在が邪魔かと言うと別にそうでもない。か、どうかは実際に見てみないと分からないのだが、まぁいる分には問題ないと思う。

なぜなら、あのゲーム、公式がやべぇからである。

正直、ピクシブと言う混沌サイトで「監禁」を見たときも「腐女子は本当に監禁が好きだなぁ。ははは」と思っていたのだが、まさか公式がメインストーリーでガチで監禁なさっているとは思わなかった。あのゲームは、そんじょそこらのお腐り共の2手3手先を平気で行くので、たかが女子一人が混ざったぐらいで何も問題ないだろうと思うような安定感があるのだ。

全然関係ないが、監禁に使われた「外から鍵を使わないと開かない部屋」って何の為に作ったのだろうか。

 

一つ、腐ってるのが死ぬほど嫌いと言う人も、ちょっと我慢してピクシブでイラストの方を漁って見て欲しいのだが「なにこのBL」と思うような台詞にちょいちょい「台詞は公式」と言う注釈がついている事がある。つまりもう、そういう事である。

 

アンズの登場に心配があるとすれば、アンズが目立ちすぎないだろうか?と言うことである。

これはでしゃばる、とかではなく、純粋に、アンズって女は…有能なのである。

1年365日、雨の日も雪の日も夏休みも土日も学園へ足を運び、ほぼ一日中学園に居座った挙げ句、書類作成から、ライブの宣伝、衣装のデザインや作成、更には弁当の調理まで多岐に渡る業務をこなしており、その最中にやべぇアイドルたちの痴話喧嘩や、厄介ごとに月2のペースで巻き込まれ、ついに一度ぶっ倒れて病院に運ばれたかと思いきや、即座に回復して病院からの脱走を図った挙げ句、ただ寝ているのは暇だからと寝ながら出来る仕事に着手する一人ブラック企業を展開するえげつないフィジカルを所持する女子高生である。更にこれらの、調理、事務、裁縫等のスキルは今年転校してきてから大慌てで身に付けた物であり、それを直ぐ様自分の物にして周りから認められるまでになるスーパーJKだ。

これをモブに出来たら逆にすごい。

 

行動力も兼ね備え、敵の策略によってチームが空中分解、「学園のアイドルはソロ活動が禁止」と言う校則のせいでライブが出来ないと言う問題に直面した際、歌も躍りもトーシロの癖に覆面を被って男性の振りをし、ユニットの一人ですと言い張ることで問題を力業で解決した挙げ句、人気投票に勝利するべく「昔の学校から大量に友達を呼び寄せ、自分のユニットに投票させる」と言う単純にして強力なマドハンド戦法を実行、見事勝利を掴み取るやべぇ女である。

転校一ヶ月ほどでここまでの大躍進を見せておきながら、周りからは「無口」「気配がない」と評される等、自らの気を消し続ける芸当まで身に付けている。

活躍したせいで影の薄さが打ち消されてしまいピンチに陥った黒子テツヤくんも真っ青である。

 

つまり、とても有能なクノイチである。こいつは。

黒子テツヤを凌ぐミスディレクションの使い手とは言え、本当に周りのアイドルの存在感を食わないかが、心配である。

 

更に言えば、転校生は俺らなのである。

そんなクレバー女子としてテレビに映るなんて、僕には…無理だ。

まぁ、僕の夢ノ咲学園にいる転校生は「冷子」であり、僕はそれに引っ付いている謎の男なので、電波に乗せられてしまう夢ノ咲学園はパラレルワールドと言うことになり、あまり関係がないのだが、我々はマルチバース世界に生きており、多次元のプロデューサー同士でランキングを競いあうと言う仁義なき闘争を日々繰り広げている。

休んでいるのはイベントが始まる前の3時間程度の謎の空白時間、3次元で言うとメンテナンス時間ぐらいであり、それが終わり次第5万人を軽く越えるであろう転校生が学園へと雪崩れ込み、各々任意の5人+1の生徒の首根っこを引っ付かんで馬車馬のようにレッスンに勤しむと言う孤独でありながらも、油断した瞬間に振り落とされるカイジのような戦いに身を置いている戦士たちの内の誰か一人が代表してアニメにカチコミを仕掛けるのだと思うが、まぁ誰が行っても恥ずかしくないだろう。きっと。

 

戦闘力だけなら、全員がバイオゴリラみたいな転校生達なので「私こそが真のアンズである」と名乗りをあげる輩が続々と沸いてくるだろうと予想はしていたのだが、「私こそが真のアンズ(CV坂本真綾)である」となってもまだ名乗りをあげられる奴があんなにいるとは思っていなかった。やはり、奴等は強い。いつも、女の子の強さには驚かされるばかりである。

 

もしもアンズが、女子高生アンズ(CV大塚明夫)とかであれば、満を持して僕が名乗りをあげようと思っていたのだが。

しかし、転校生の内の1割は男性との事なので、これも意外と激戦区になるかも知れない。