上澄みに棲む者

この世界はリスペクトとオマージュで満ちている。

と言う事にしたい。既になっている気もするが、より強固に人は殺したら死ぬよねぐらいのレベルにリスペクトとオマージュで満ちまくりと言う事にしたい。

 

僕は隙あらば「おっ、おもろいやん」と思ったネタをパクりにかかる為、お天道様の下を歩いていてもいつ背中から刺されるかと怯える日々を過ごしているので、そうなってくれたら大変ハッピーなのである。

しかし、世の中が通り魔の様に節操無くネタをかっさらっていくオモロシーフに寛容になると別の問題が浮上してくる。

拙者、元ネタ知らぬ侍問題である。

 

僕は初対面の人間から例外無くオタク(概念)判定を食らうタイプの見た目をしているのだが、残念な事に漫画にもアニメにも軍事関係にも医療関係にも法律にも明るくない。

明るいのは頭の中だけと言う触れる物全てを傷つけるハッピートリガーなのだが、さもゲーム好きアニメ好きですみたいなネタを多用している。しかし、本当は一ミリも知らないのである。その辺で見かけて「おっ、ええやん」とユニクロ1000円みたいなノリで使ってたネタが元ネタありと聞いて「そ、そうだったのか…」と狼狽えてしまったりする。

 

慈悲は無い。と言う発言をこの長い文章を書く場所でも何度か使っているのだが、元ネタが忍者スレイヤーだと聞いた時にはおったまげた。「あいええええ」だの「なんで!?忍者なんで!?」みたいなやたらテンションの高い奴だけだと思ったら、こんなに汎用性の高い静かなネタまで仕込んでいたとは中々侮れない作品である。なお、読んでない。

 

これを指摘してきた人物は、人に物を薦めるだけ薦めて、いざ僕がその作品にハマると既に熱が冷めていると言う、人を砂漠に置き去りにするのが得意な冷酷無慈悲な闇商人だったのでコレと言って突っ込んでくる事は無かったが、これが無邪気なイノセント野郎だったりすると「同志見つけたり」と狼煙を挙げて突撃してくる可能性がある。

こちとらそのネタに全く知識を持たないパーフェクトな丸腰である。白旗をこれでもかと地面にぶちまけて、相手が布に足を取られてる間にケツまくって逃げ出す事しか出来ないのだ。

 

最近…と言う訳でもないがネットの普及により元ネタを知らなくても、大まかなネタ発言を摂取する事が容易になった為、わざわざその作品を読まなくても余裕で使えてしまう武器がそこかしこに転がっていると言う無課金ユーザー大喜びのパラダイスが広がっているのだが、調子ぶっこいているとガチ課金ユーザーに殺されるシステムである。とかくこの世は生き辛い。

僕がネットに触れ始めた時、つまり人生から足を踏み外した時は「まどかまぎが」とか言う作品が多分流行っており、「もう何も怖くない」とかそういうのが転がっていたので、ライターを初めて見た原始人の様にとりあえず拾っていじっていたら「分からないネタでもとりあえず乗っかるよね」と言うディス…もとい突っ込みを食らいとても恥ずかしかった事があった。何も怖くないなんて事は無かった。なお、まどかまぎがは読んでいない。

これはマシな方であり、僕が訳も分からず振り回していた武器に反応して同じネタで乗っかってくれた人に対して「こいつ急にどうしたんだろう?」と言う残酷過ぎる切り返しをして相手に致命傷を負わせてしまった事があった。その時は本当に意味が分からなかったので相手が困惑してるのを見ても飴ちゃんとかペロペロしながら首を傾げるだけだったのだが、後々「同じ作品のネタだったのか」と気づいた時の衝撃といったら無かった。

無知は罪とはよく言った物で、悪意0%で無自覚のバルスを放ってしまったのである。本当に申し訳ない事をした。この場を借りてお詫び申し上げます。なお、ラピュタは見た事が無い。

余りの恥ずかしさに僕が神だったら世界が滅んでいた所だったが、僕がただの無能寄りの人間だった為、とりあえずパソコンに向かって土下座した。リアルタイムだったら、焼き土下座もやむ無しである。なおカイジは読んだ事が無い。

 

このように相手がガチ課金勢だった場合でも、相手が心優しかった場合のみ無慈悲なる刃で切り殺せる事もあるが、相手も無課金勢だった時はより過酷な地獄が始まる。しったかVSしったかと言う最底辺決定戦、泥を泥で洗う泥仕合の始まりである。

「あ~そのネタ聞き覚えあるんだけど何の奴だっけ?」等と問いかけをされ、僕は全く知らないので「しまった!?これもなんか元ネタがあるのか!?」と内心動揺しまくりだったりするのだが、それをおくびにも出さず「ほら、アレだよ。」と適当ぶっこくと相手も「あ~アレね~」とノッてくるのだ。

「え!?アレなの!?これ正解なの!?」と更なる動揺により目は完全に自由型で泳ぎまくりなのだが、「ははは」と曖昧なジャパニーズスマイルで誤魔化してなんとなく会話を終わらせると言う不毛すぎるやり取りをする羽目になる。それが仮にガチで正解だったとして、僕はその適当にぶっこいた作品すら当然読んでいないので話の膨らみようが無いのだ。こんな時どんな顔をしていいのかすら分からない。なおエヴァは見た事も読んだ事も無い。

 

この、ガチ課金勢を相手にすると、相手にいらぬダメージを与えて悲しき勝利を得るか、ジャッキーチェンばりに窓ガラスを叩き割って逃げ出すかの2択、無課金勢を相手にするとお互いに薄氷の上で会話をする羽目になるエクストリームコミュニケーションが始まると言うどう足掻いても絶望な事態を回避する為には僕が拾ったネタをクソガキもかくやと振り回すのをやめるか、ちゃんとその作品に興味を持って触れればいいと言う解決策も出ているのだが、どちらも嫌である。なお、ジャッキーチェンが出てる映画は一本も見てないし、これが俳優名なのかキャラ名なのかも分からない。サイレンは1だけやりまくったのでセーフだ。どっからでもかかってこい。

 

そもそも、ネット世界は傘もトランプも鍋も布も大根も飴も武器になると言う、人を殺せない物体を探す方が難しい世紀末なのだ。落ちてたハンカチを拾ったら「ほほう…貴様も武器を取るか…」と突然仮面の男から戦士認定されたりする。

慈悲は無い。とか、別に忍者スレイヤーの専売特許では無い筈なのだが、なぜか普通の言葉すらも「どこそこのネタ」と言うレッテルが張られている事もある油断ならぬ世界なので、「気づいたらこの手に武器を握っていた。何を言っているのか分からねぇと思うが以下略」と言うポルナレフ状態にいとも容易く陥ってしまう。なお、ジョジョは読んだことがない。

つまり対策の立てようがないのだ。本気でNOウエポンボーナスを狙おうとすると小学生時代に戻ったかの様な緊張感溢れる生活を強いられる事になる。

その作品を読む…と言うのは、出来なくはないが面倒くさい。読めば面白いのだろうが、こういうのはお出掛けと一緒で始めるまでが非常にかったるいのである。俺に何か読ませたきゃ軍隊でも引っ張ってくるんだな。と言う感じだ。なおワンピースは最近読むのをやめた。

と言うか、記憶力が年々落ちているので、最近ハマっているあんさんぶるスターズですらキャラの名前を全部覚えていないレベルであり名前の読み方が分からないので、ご丁寧に名前が表示されても「お前その名前なんて読むんだ…テトラ!?鉄虎と書いてテトラ!?」とイチイチ驚いたりしている。既に僕の脳内キャパシティは限界を迎え、割りと口の方まで来ている。もう頬っぺたもこれ以上膨らまないよって所までパンパンになっているのに、更に口に新たな情報をねじ込んでいては窒息してデッドエンド待ったなしである。なお、テトラくんは僕の推しキャラである。アルバム買った。

 

まぁそもそも僕は基本的にボッチなので、早々に死ぬような目には合わないし、合った所で人生は常にデッドオアダイ、一機や二機死んだ所でガタガタ抜かしてはいられないし、次に死ぬまでに1アップキノコの一つや二つ余裕で食せている。なお、マリオはクリア出来た事がない。常に残機0になって終わっている。

 

何回殺されても懲りずにその辺に落ちている武器を無垢な瞳で拾い上げ振り回していると思うが、うっかり残機0の状態で無防備にウロウロしている可能性もあるので、みんな僕には優しくして欲しい。お前のその一言が僕を殺す。

ゲームオーバーになった所で5000マッカを支払えば余裕で生き返れるのでそこまで気にしなくてもいいかも知れないが、出来ればあまり死にたくないのである。

 

なお、