回転する愛

はてなブログさんが掲げる今週のお題は「グングン伸びる」だ。

今までは糞みてぇなお題だなとは思ってもあくまで糞と言うだけの話だったが、遂に意味が分からねぇと言う領域にまで足を踏み込んで来た。はてなブログさんも日々進化である。

 

こんな意味不明なお題は脇に置いといて今回はガチャの話をする。

リアルマネーをつぎ込んで電子のデータを買って何か楽しいの?と言う煽りの対象になるアレだ。未だに言ってる奴がいるのかは不明だが、かつては割りと言われていた気がする。

昔は僕もガチャの価値がよく分かっていなかったが、今なら即答出来る。めちゃくちゃ楽しい。

金を払ってイケメンを手元に誘致するのである。これが楽しくない訳がない。まぁもちろん無料でイケメンが手に入るならそれに越した事は無いのだが、それは不可能なのでガチャガチャするしかない。

決まった額を支払う事によって確定でイケメンが手に入った方が安定性もありこちらもお財布と相談がしやすくて助かるのだが、何しろ相手はイケメンだ。たかが魚の死体ごときが時価になる世界でイケメンの値段がはっきりしてる方が異常なのである。いくら掛かるかは分からないが、回せば必ず出るのだから実質確定ガチャと言う事にもなるし、そこまで悪い話ではない。そこまでと言うだけで十分悪いような気もするが都合の悪い事は全て「目を瞑る」事で対処出来るので何も問題はない。出来ないと言う奴は義務教育を終わらせてから出直して来て欲しい。

更にゲームの種類にもよるが、ガチャガチャして仲間を増やして世界を救おうみたいな世界観の場合、手に入れたイケメンは大体戦闘に参加してくれる。金で買ったイケメンが俺の為に人を殺すのだ。正にサクセス、幸福の極みである。

一度この人生の勝利者となる瞬間を体感したらもう元の生活には戻れない。新たなイケメンを求めて次のガチャへ、となる訳だ。

生活が破綻する程に金を注ぎ込んでしまうのも仕方がない。イケメンがいない生活に耐えてまでカップラーメンを啜っても無駄に生き長らえてしまったとなるだけだし、死ぬ直前に「ワシはなんの為に今日まで生きてきたのか…?」と虚無を抱えながら地獄に落ちる羽目になる。しかし生活費をガチャに変えればあら不思議、「僕が飯を我慢したお陰で手に入ったイケメン」と言うひと味違うイケメンを楽しむことが出来る。手に入らなかったらどうするの?と言う無邪気なキッズからの質問が聞こえて来るが、うるせぇ死ねと言う言葉を回答に変えさせて頂く。戦う前から負ける事を考える奴がいるか。

 

しかし、金を湯水の如く浪費して行かなければ万札に押し潰されて死んでしまうと言う切羽詰まった状況に追い詰められている石油王でない限りいくら生活を切り詰めた所で限界がやって来てしまう。ジャパンにおいて全ての金をガチャにつぎ込めば待っているのは国による差し押さえであり、イケメンも全てボッシュート、この世の終わりである。

どのイケメンを確保して行くかと言う取捨選択は非常に大切である。むしろ次のターゲットを決める時間も楽しんでいかなければならない。

新しく実装されるまだ見ぬイケメンの事も頭の隅に置きつつ、攻略サイト等とにらめっこして「このイケメンをゲットする為に金を貯める」と心に決め、その為にせっせとつまらねぇ日常をこなしていくのもまた一興と言うものだ。イケメンを使役する為の布石だと考えればモヤシもご馳走である。

 

そして目当てのイケメンピックアップガチャが開催されたと同時にシャンパンコールを繰り出すと言うのが黄金ルートなのであるが、ここで僕はミスを犯した。

最近僕が楽しんでチマチマやっているゲーム、ガチャがしょっぺぇ事で有名なFGOさんなのだが、無闇矢鱈と期間限定キャラが多く、前回のピックアップは1年8ヶ月前とかがザラと言う待つのも楽しみと言っても限度があるわと居酒屋で延々説教したくなるゲームなのである。そんなゲームにめっちゃ強い、確保しておくと色々と楽になると噂のスカサハスカディさんなるキャラがピックアップされたのだ。

女性キャラなので全く興味無かったのだが、サポートキャラなのもあって「手持ちのイケメンを強くする為にも持っておきたい」と言う欲もあり僕はガチャを回した。

過去に戻って自分を殴りたい。

性能に目が眩んで愛無きガチャを回すなど愚の骨頂、笑止千万の行いであった。

話し相手もいない真夜中に一人で思い付く限りの罵詈雑言を吐き散らかすと言うドラマティックな時間を過ごしたのだが、ぼっちの独り言を延々と文字起こしすると言う地獄のようなページを作り出しても仕方がないのでサクッと済ませる。「2万円溶かした」

 

なんてあっけないのだろう。あんなに苦しんだ時間が一行すら必要ない。「お前なんかいらねぇよブス!!」と世界で尤も低レベルな負け惜しみを吐いて失った2万円に思いを馳せながら買うイケメングッズ、実質無料である。マグカップを買いました。

 

しかし、この爆死ピックアップガチャが終了した後に即「イケメン二人がピックアップされるガチャ」が開催されたのである。悩んだ。そして6時間悩んだ末に気づいたらこの手が1万円を手放していた。

しょうがないのである。片方のイケメンは前回のピックアップが約2年前だったのだ。そんな激レアイケメンを見てみぬ振りは出来ない。性能だけを目当てに変な女に金を注ぎ込んだせいでイケメンを取り逃しましたなんてご先祖様に顔向けも出来ない。

この1万が足りなければ俺の命をくれてやる!!と思いながらガチャを回したら一回目でサクッと目当てのイケメンが出てきた。排出率0.400%のイケメンがサクッとである。

これが、愛の力と言う奴だ。

信じればイケメンは応えてくれる。悪い意味で課金にこなれてきて大切な事を忘れていた。

 

2万円は授業料だった。大切なのは、愛。イケメンを愛する心。もう性能なんかに目は眩まない。そもそも「そのキャラクターがいないとゲームに支障が出る」とか言うクソゲー仕様では無いし、いないならいないでどうとでもなる奴なのだ。

ならその女がよしんば出たとしてもそいつの枠にイケメンを置いた方が遥かに楽しいし、人生も薔薇色になろうと言うものだ。

今は手に入れたイケメンをせっせと育成中である。とても楽しい。

失った2万なんて来年にはどうせ忘れてるし、ここで2万を我慢しても何故か常に「金がねぇ」となるのが人生である。貯金が趣味、投資が得意とかでない限り多少1万2万を渋った所でどっかで必ずどかっと使うように出来てるし、ここで使っても何も問題はない。

大切なのは後悔するかしないかである。今回は愛の為に金を使わなかったので盛大に後悔しているし、なんなら今日もお風呂上がりの弟に向かって「お金返して…」と謂れのない返済を求めてしまったりしてしまったが、イケメンの為に追加で使った1万に関しては清々しい気持ちで一杯である。

 

心が欲望で出来ているので既に「次はどのイケメンを手中に納めようか…」とゲス顔を浮かべており、正月新キャラ実装とか言うのがあるんだろ?と弟に聞いてみたら「そうそう、何が来るのか知らないけどシャルルマーニュとか来るかもね」と帰ってきたので秒速で検索したらテイルズの主人公かな?みたいなイケメンが出てきた。流石我が弟。いい希望を持たせてくれる。

 

次の獲物は決まりである。もう性能だけを目当てに訳の分からねぇ女に諭吉を捧げたりしない。

これからは愛あるガチャだけを回すのだ。狙われたイケメンからしてみたら冗談じゃねぇ話かも知れないが、イケメンに生まれてしまった事を恨んで観念して欲しい。

絶対に逃がさない。