それでも花は咲く。

ストーリーに一ミリの期待も持てないコンテンツこと、ヒプノシスマイクさん。

最初は「言うた所でこれから続いていけば…」と思っていたのだが、完全に期待を失っている。

 

しかし、アレは「ラップバトルプロジェクト」と呼ばれているし、ストーリーも面白いとは一回も聞いたことが無いような気がするし、それでいいのかも知れない。

結構な期間を2枚の立ち絵だけで凌ぐと言うストロングすぎるスタイルで生きてきたコンテンツだ。ストーリーがヘボいからと言って、何が揺らぐと言う訳でも無いのだろう。

実際、ストーリーはゴミでも曲はとても良いので、もう立ち絵と曲だけで生き残って行けばいいと思う。ドラマトラックすら出ていない時期から、キャラの立ち絵と設定だけで2次創作は溢れかえっていたし、水と空気さえあれば人間は生きていける、それ以上を望むのは過剰と言う事なのだろう。コンテンツを通して悟りに一歩近づいた。有りがたい話である。

 

最初期から、設定のガバガバ具合と言うか、ちゃんと決められている設定でも「ちょっとイマイチ何いってるのかよく分からない」と言う不安すぎるスタートを切ってはいたのだが、この不明瞭状態で自信満々に突き進まれているので、こちらはもうお母さんの瞳で見守るしか無い。

大まかな設定(ただし読めば読むほど理解出来ない)だけが決められていて肝心の話は全く進まず、キャラ同士のワチャワチャした糞どうでもいいお喋りだけがドラマトラックに収録されていく様子は「これ中学生が書いてるんじゃねぇの…?」と言う疑念がそこはかとなく沸いてくる、古傷が痛む感じのアレでありながらも、「普段あんなに穏やかなあの人がお酒を一口飲んだら酒乱に!!」だの「ギャンブルで相手をカモろうと調子ぶっこいてたら逆にカモられてウギャー」だの「美味しい美味しいと喜んで食べてた料理が実はタランチュラだコウモリだネズミだのでヒェェェェ」だの、「これ、進研ゼミでやった奴だ!!」と聞いてる途中に完全に展開が分かってしまうと言う90年代同人感溢れるギャグセンスを繰り出してきたりと、書いてる奴の人間性すらもイマイチよく分からないと言う何もかもが不透明に包まれていたストーリー部門であったが、やはり中学生だろコレ!と、最近発売された漫画を読んで確信した。

 

まぁ、ドラマトラックで聞いた「おいおい!たった4人でこれだけの人数に勝てると思ってるのかよぉ!」と言う使い古されすぎてカビ生えてる感じの台詞が頭を過り不安にはなるのだが、多分中学生だと思う。それとも最近はこの手の古臭いネタをリバイバルするのが流行っているのだろうか?

今のチャオとかリボンとかを読んだら、「ネギ…落としましたよ?」「いやん、わたすったら」みたいな出会いの仕方とかをしてる可能性が…?ちょっと、チャオとかを買う度胸は無いので、知ってる方は教えて頂きたい。

 

なぜ、中学生だな!(確信)となったかと言うと、漫画は過去編を描いている訳なのだが、それが2年前なのである。

今の17才の登場人物が15才だったから間違いない。

そしてこれは多少ツイッターで燃えたのだが、時系列現在、つまりナウでとても仲良しな3兄弟がおり、次男三男が長男をめっちゃくちゃ尊敬していていると言う設定があるのだが、この次男三男が長男をムッチャ嫌っているのでいる。

「あんな屑が長男だなんて恥だ」とまで言ってるのである。

そこから、2年。何があった。

 

2年はね…短い。皆さん知ってると思うが、2年はね、短いんだ。瞬きするだけで3年が経つこの世界で、気づいたら6月ももう終わろうかと言うのに、たかだか2年で、長男を盲信する二人になっているのである。

ちなみに、H歴とか言う「ラップでバトルしようぜ!!」みたいな世界になったのも2年前であり、昔はめっちゃ仲良かった物の現在は解散しお互いを憎み合ってると言う設定の伝説のラップチームが出来上がるのも恐らく2年前である。2年前時点でまだ出来上がってもいないのだが、まぁ、あと三日ぐらいあれば出来上がるのだろう。知らんが。

 

つまり、2年の間に「伝説のラップチームが出来上がって、更に解散」と言う高校生修学旅行カップルみたいな道を辿り、あんなに嫌われていた長男は神の様に崇め奉られ、逆に別に中が悪い風でもない次男三男がなぜかめっちゃいがみ合ってると言う事になったのである。

もしもボックスでも使ったか?

ちなみに、新発売の漫画についてたドラマトラックを聞いたら「長男が2年前から始めたよろず屋山田の業績も好調」みたいな台詞が出てきた。2年前に色々詰め込まれ過ぎである。作者の記憶が共有されていないのか…?11人いる…?

多分だが、2年めっちゃ長いと思っているのだろう。2年もあれば世界も変わる、と。

そんなに一日一日が貴重なトレジャー、光輝く1年は長く、2年後なんて遠い未来だよね!と思えるのはキラキラ中学生だけである。大人になれば近すぎる2年後に怯えながら生きていく羽目になる。そうだろ?…そうだよな?

更に女尊男卑の世界を描こうとして作られた設定が「男性だけ税率10倍」である。小学生の可能性まで出てくる。

だから、こっちがイマイチ理解出来てない設定の数々も、多分深い所なんて一つも考えてないのだろうし、一生懸命追うだけ恐らく無駄である。

中学生だもの。無駄に「深そうな設定」だけを思われぶりに乱舞した挙げ句、尻すぼみで終わるのが関の山である。普通なら「エタる」事が逃げ道であるが、コイツにその逃げ道は無い筈だからな。どうなるのか、本当に楽しみである。

既に終わった黒歴史とやらを「見てみて~はずかしいでしょ~」とダブルピースでツイッターに差し出し、承認欲求を満たそうとする浅ましい輩を眺めて「はっず~w」と決まりきったコメントをしている暇があったら、絶対にヒプノシスマイクの底の浅そうなストーリーを追った方がカタルシスを得られる筈である。人様の、ルシフェルだの不可視の夕暮れだのをニヤニヤ眺めるのが三度の飯より好きと言う方は是非「見守る会」に入会して欲しい。

 

そんな感じで漫画もまぁそんなに…その…買う価値があるかと言われると微妙なラインではあるのだが、漫画に抱き合わせて付いてくる曲はとても価値がある。漫画、ドラマトラックもついて1900円、しかしこの二つは無いも同然なので、実質1曲に1900円と言うぼったくり具合だが、僕は男だしこのぐらいされても仕方無いのだろうし、それでも今とてもサティスファクションしている。

 

仲悪い山田兄弟を出したことによって「公式と解釈違い!!」と盛大に盛り上がった界隈であるが、2次創作界隈は元々パロディ満載、「ドラマトラックはまだ聞いておりません」「漫画は読んでません」と言う清々しい開き直りが溢れかえる無法地帯のままである。奴等は本当に強い。

それなのにあんなにも盛り上がる物なのだなぁ…と不思議に思っていたのだが、恐らく「我々は好き勝手にやるが公式にはちゃんとして欲しい」と言う反抗期みたいな思考回路が働いているのだと思われる。公式が中学生なら我々もまた中学生である。

しかし、常識と言う土台が無いと皆大好きサイコパスにはなれないし、紙で作った土台の上に私の自慢のヒプマイ城が建設出来るか!と言う崇高な気持ちがあるのかも知れない。

 

僕の説が正しければあの世界の土台が突如錬金術でアダマンチウム製になると言うことはないだろうし、永遠にアネハ仕込みの紙土台の上で曲芸のようにバランスを取りながら様々な妄想を垂れ流す羽目になってしまうと思うが、2次創作界隈の人たちにはこれからも頑張って貰いたい。

いつか土台ごと崩壊しても、不屈の魂を持つあの選ばれしソルジャー達なら「ペンは剣よりヒプノシスマイク…よりペンじゃい!!」と鼻息で公式を吹き飛ばしながら焦土と化した大地に花を咲かせてくれると信じている。

 

荒野に咲く一茎の花。これにはジャクライ(イマイチ何したいのか分からない)もニッコリである。