歩数バトルとポジティブシンキング

友達に気軽に勧められて気軽に音楽を聞いたら身内各位で一番ドハマリしたと言う若干の恥ずかしさを感じてしまうハマり方をしたヒプノシスマイクと言うコンテンツであるが、とにもかくにもグッズ展開コラボ展開が多い。

 

いや、こういうコンテンツならこれぐらいが普通なのかも知れないが、如何せん僕はこういうのにハマるのが初めてなのでどうにもよく分からない。

しかしまぁ、こういうのに初めてハマったのがなんか嬉しくてファンっぽい事してみたいぞ!とグッズ等をせっせと買い集めてる訳だが、なぜか知らないが男性声優のラップバトルプロジェクトと言う触れ込みのコンテンツがタニタとコラボし歩数計を売り出した。

「今度は歩数で白黒つけようぜ!」等と言う文言と共に特設サイトまで作り出し、完全に歩く方向を間違っているのでは…?と思ったし、こんな文言が出てきた時…と言うか歩数バトルが開催されてからも、全然本題のラップバトルで白黒ついてない状態なので「おいラップバトルしろよ」と言う感じだったのだが、完全に浮かれていた僕はイソイソとカラダカルテとやらに登録し歩数計を購入してしまった。

コンビニで代金を払うアレが出来ずに代金引換かクレカと言う選択肢だったのだが、クレカを持ってない僕は渋々代金引換を選び、盛大に後悔した。

何しろ届くまで一ヶ月近くの間があるのだ。浮かれて歩数計なんて買ったテンションはとっくに下がり「この後僕の財布から5000円が消えていく」と言う事実が胸に重くのし掛かり、健康になる所かメンタルをやられる所だったのだが、届けば届いたでまぁ嬉しいものであり「やったー届いたー」といそいそと写メなんて撮ってみたりして缶バッチは鞄に着けて居酒屋で見せびらかした。

とにもかくにもラップ所か言葉の一つも使わない完全なる場外乱闘が始まり、当然僕もそれに加わることになった。

始まる前は「歩数バトルて…」等と思っていたが、いざ一回戦が終わってから自分の歩数計を見てみると「初日14272歩」「二日目13833歩」「三日目44833歩」「終了後167歩」と言う完全にムキになっていた事が数字によってマザマザと見せつけられ死にたくなった。

特に三日目は深夜1時半から5時過ぎくらいまで延々と公園を行ったり来たりするやべぇ人になっており、それでも上位陣の足元にも及ばないと言う事実にうちひしがれたりしていた。

どうやったら一日で19万歩も歩けるんだ…?

意外とちゃんと歩いたら到達するものなのか?等と呑気に考えていたが、それなりに長い遊歩道みたいな公園を半分ぐらいまで進んでも5000歩程度であり(その先は短いトンネルみたいなのがあってお化けが怖くて引き返した)時間にしても30分ぐらいだったと思う。

精神と時の部屋にいるとしか思えない。

そんな化け物トップ3をフリングポッセが占めてるのを見た瞬間に「負けたな」と思い、それを越える歩数を池袋が記録しているのをつい確認してしまい「オウチに帰ってドーナツ食べるお!」と思った。勝てる訳がない。

しかし冷静に考えれば、我々シンジュクディビジョンの人間はみな病人みたいなものである。

ディビジョン代表者が「病める街シンジュク」等と言ってしまっているのだからしょうがない。そんな自他共に認める病み街が2000歩の差程度にまで若者の街に食らいついただけでも大したものなのだ。

シンジュクディビジョンで歩いてるのは酔っぱらいか客引きだけ、後はみんな座ってパソコンをカタカタするか酒を浴びるように飲むかのどちらかだ。健康なんて気にする奴はこの街には一人もいない。健康になりたいと思ったらいの一番に脱出しなければならない街だ。

つまり我々は負けたのではない。世界観を守ったのだ。病める街シンジュクブランドを守った。なんて偉いのだろう。

勝とうと頑張って歩いて歩数を記録して「平均歩数はこれであがったのか?」とサイトをチェックする度に推しに「あんたはどうして俺なんかに近づくんだ?」とか「それ今確認する必要ある?」としか言い様のないネガティブ発言をカマされたり、「お前のその光が時に人を殺す」と謎の忠告を食らったりした記憶が心に傷を残すが、それも病める街クオリティである。

世界観は大事だ。僕はそれを守るためにライブ会場にも行っていないのだ。決してチケットが外れまくっている訳ではない。女性しか入れない中央区に男である僕がノコノコと入り込んだら「中央区の壁とは…?」となってしまうから行かないのだ。

まぁ次のバトルが始まったらまた頑張って歩くつもりでいるのだが…。全員が全員精神と時の部屋にいる訳ではないっぽいと言うのは確認済みなので頑張ればランキング100位以内には入れそうな気がする。入りたい。今回は200位前後だったがこうなったら自分との勝負である。推しに褒められるまで歩くのをやめない!

それで見事シンジュクディビジョンが1位を取れたら当然のように夕日に向かって万歳三唱ヤッターヤッターヤッターマンだ。それはそれ、これはこれである。

シンジュクディビジョンは全員がアラサーの大人のグループである。

大人になると言うことは自分を誤魔化すのが上手になると言うことだ。

何も間違ってはいない。