一人ぼっちのレギオン

おのれ、猫!!

 

まぁ、つまりそういう話をする。

猫への恨み辛みだけでこのページを真っ黒く染めてやりたい。

しかし世の中…特にインターネッツの世界では神より遥かに崇め奉られているのが猫、即ちおキャット様である。神様は気軽に紙面に呼び出し、人間とのタイマンバトルとか言う意味不明な謂われもない争いに巻き込む人間でもおキャット様に関しては完全に不可侵聖域、猫がひどい目に合うパターンは猫をひどい目に合わせた何者かがその500倍酷い目に合う時だけである。「こいつ!酷い奴だぞ!!」と言うことを盛大にアピールする為にはお婆ちゃんとお婆ちゃん思いの心優しい青年を麻袋に詰め込んで硫酸で焼き殺すよりも猫を蹴り殺す方がよほど効果的だし読者の心を炎上させる事が出来る。

心優しい少女がお爺ちゃんを助けた所で「でもこいつブスじゃん」とか言われてしまうが、猫はジジイの傍で惰眠を貪るだけで「ほっこりする」「優しい猫ちゃん」とか言われる。人間は顔のパーツが一ミリずれただけで「ブス」のレッテルと共に人権を剥奪されるが、猫はどれだけデブろうがブサろうが「可愛い~~~」である。

 

そんな猫に激甘な腐敗した世界にゴッズチャアイルとして産まれ落ちてしまった場合はどうしたらいいのか?

答えは簡単、どうしようもない。死である。アルハラモラハラだセクハラだポジハラだ訳の分からねぇハラハラを大量に生み出して喚き散らす輩共もこと猫に関しては容赦なくネコハラを仕掛けて来る。正義は奴等にある。我々(誇張表現)に残された道は沈黙のみである。口を開けば首が飛ぶ。

 

対猫に関して一番ネックとなるのは味方の少なさである。

無尽蔵に産み出される各種ハラハラは「アルコールがダメ」「妊娠している」「女性、もしくは男性である」といったコミュニティに属している上で「我々はその事によって被害を受けている」と主張し、それに賛同する奴等がワラワラと沸いて出る事によって成立する訳だが、「私は猫が嫌いであり、猫によって被害を受けている」と主張した所で手を挙げてくる奴は一人もいない。仮にいたとしても他の同士が手を挙げるよりも先におキャット親衛隊特殊部隊の凄腕スナイパーに手首の先を吹き飛ばされる。命を奪われないだけ温情といった有り様だ。

 

戦いは数だよ兄貴!」と言う名言の通り我々に勝ち目はない。人類の9割はなぜか猫が好き、二枚目気取りの秀才やあの嫌な悪党番長すらも「猫は可愛い」と言い始めるし「猫が好き」と言う属性が一枚付加されるだけでそいつへの好感度は急上昇、おキャットバブルが始まり飲めや歌えやパーティパーティパーティと全世界が幼稚園児が書いた地球の絵みたいに手を繋ぎ始めるので、戦争をした瞬間2分と持たずに討ち滅ぼされて終わりである。三日も天下が持っただけ明智光秀は御の字だったのだ。

猫を飼っている奴が車に轢かれてももっぱらの話題は「猫はどうするのか?」であり、そいつへの心配は二の次である。

それぐらいこの世は猫好きで埋め尽くされており、猫が絡んだ瞬間にIQは4ぐらいにまで落ちるし、猫を中心に世界は回り続ける。

 

「容姿端麗頭脳明晰スポーツ万能性格爽やか」と言う完璧超人ですら悪口を一つ撒いておけば、我先にと突撃し悪口に颯爽と参戦する奴等が出てくる地獄みたいな世の中でも猫の悪口には誰も乗ってこない。完全なる孤軍奮闘を求められるのである。家族も友達も猫が絡めば敵に回る。それが人生だ。

 

人間はとかく口が回る生き物であり、完全に生き物として敗北しているブス不細工ですら不屈の魂を持って「性格ブス」「美人は三日で飽きる」「美人薄命」等といった完全に無根拠の至言を産み出し続けあまつさえ世間様に浸透させると言う大奮闘を魅せているので、どんなに劣勢を強いられている我々猫キライキライ軍(構成員1名)でも頑張れるんじゃないかと言う気がしてくるが、残念ながら猫の嫌な所なんて100言った所で無駄である。

 

猫の短所なんて挙げりゃ正義の数だけ出てくる筈なのだが、その全ては奴等に取っては「可愛いポイントにゃん♪」であり、こっちは完全なる愚痴のつもりで「糞猫が!!」と恨み辛みを垂れ流しても、なぜか鼻の下を伸ばしながら「分かるぅ~~~そういう所が可愛いよね~にゃん♪」と宇宙言語で切り返されて「なんだかんだ言いつつ猫好きのツンデレ」みたいな扱いをされるのがオチなのである。ファッキュウ!!と叫んだ所で奴等は難聴なので「にゃんちゅう?」と聞き返されて終わりだ。

普段は美点すらも欠点に変えるネガティブマジシャンであるぼくの仲間達もなぜか猫に関しては劇的なポジティブシンキングを見せる。そして普段は味方として猛威を振るってくれる口先マシンガンの銃口をこちらに向けてくるので、その瞬間に両手を挙げて降参である。

仮にそいつらを倒した(物理)所で、別に猫に被害が及ぶわけでもないので完全に無駄な争いである。猫とは何も関係のない所で別に猫でもない人間達が猫について争っていると言う不毛っぷりなので唾を吐き散らしながら必死ぶっこくだけ損なのだ。その間にも猫の野郎は惰眠を貪っているのである。勝てない。

 

実際問題、猫虐待問題的なのは散見されるので猫嫌いは結構いる筈なのだが、残念ながらあいつらは仲間では無い。ここも問題である。軍に所属しない荒くれウォンテッド達が暴れまわるせいで逆に「猫嫌い」と言った瞬間に血も涙も無い腐れ外道みたいな扱いをされる恐れが付きまとう。

人間同士であれば、よっぽどで無ければ外れないであろう何かのタガが猫相手だと軽く外れるせいで、丁度いい位置に人がいないのだ。

猫が好きではない、と言う人も大半は「興味がない」なので戦力にはならない。かと言って虐待に手を染めるゴロツキは先の通り完全なる敵だし、そんな犯罪者を軍に入れる訳にはいかない。そもそも殺せるなら嫌いになんてなっていない。ゴキブリとかどうでもいいだろ、殺せばいいんだから。

 

猫が愚かな劣等生物とかであれば仕方ないのでこっちも優しくしてやるか…と言う気分にならない事もないが、残念ながら猫好きの連中がこぞって「猫は賢い」「猫は人の言うことが理解出来る」と言い募るのでこっちとしても「だったらよぅ!!注意した事ぐらいは守ってくれねぇとよぉ!!」と言う風になってしまう。

猫が僕の夕飯の焼き鮭を盗んだ時だって僕は散々注意したのである。

散々注意したし「そっちがその気ならこっちだって考えがあるからな!!」と猫の缶詰を横から奪い取りおもむろに食ってやった事もあったが全くの無意味であった。あと猫缶は糞不味い。なんであんなもん食ってんだ。

とにかく自分がやられたら嫌なことはしないと言う事が猫には出来ないのである。

許せん!!叩き切ってやる!!

 

こっちもお前らに一切関わらないからそっちも僕に関わるなと再三言ったにも関わらず、「にゃーにゃー」と理解不能な言語を発しながら足元にまとわりついてきたりするのである。度し難い。

 

僕はただ家でご飯を食べる時ぐらい無駄な警戒をしない生活を送りたいのだ。ご飯のお代わりをする度になぜ背後を警戒し、猫の気配を察知し次第「くわっ!!(怖い声)」と威嚇をしなければいけないのか。寛げるのが我が家と言うものではないのか。あったかハイムとはどこに…?

なぜセッセとベスト配置で飾ったイケメングッズコレクションが家に帰る度に崩れていないか心配しなくては行けないのか…?ぐちゃぐちゃになったコレクションを直し、愚痴を言いたくとも人間は全員敵、誰が犯人なのか(ここで犯猫とか言う奴嫌い)が分からないので猫を怒る訳にも行かず、涙を堪えなくてはいけないのか…。

なぜ奴等はどこに行ける訳でもない狭い我が家であんなに素早く行動するのか…?

僕の湯飲みを蹴り飛ばしお茶をぶちまけてまでお前が急ぐ理由はなんなのか…。

 

考えても答えは出ず、愚痴っても「猫だから」である。人間だもの。ではさして何も許されないが「猫だから」は全てが許されるマジックワードである。天下のみつお大先生も猫の前には形無しだ。

 

しかし走り回るのも人から晩飯をかっさらうのも猫のネイチャーだとしたって、僕のコレクションを荒らされてぶちギレるのも僕のネイチャーの筈である。なぜこっちが大人げないみたいな扱いを受けなくては行けないのか。猫だって生きているが僕だって生きているのである。我輩、生者である。晩飯を盗られるのは嫌でござる。

そもそもあいつら、人間の言葉が理解出来た上で「にゃー」とか鳴き声を発する事が出来ると言う事は、僕の言う事に「にゃー」ともなんとも言わないのは、シカトぶっこいてるって事か?はぁ?

おうおうおう、やったろうやないけぇ!!表出ろやぁ!!野生の力を見せてみろ!!

 

はぁ…虚しい。猫なんて嫌いだ、ちくしょう…。